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空想科学世界

猫・特撮・感想・料理。長年ヲタクと腐女子を患っています。
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*2008.11.14 (Fri)... 牛泥棒
あんまりゴマちゃんが見つからないって落ち込んでもしょうがないので、BLの感想など・・・。

★牛泥棒★

木原音瀬 著

いやこれホント話がよく出来ててさあ。ちょっとずつ読もうと思ってたのに一気に読んじゃったんだよね。
アタシの好きそうな、和風ファンタジーの要素の入ったBLです。

~あらすじ~
時は明治。造り酒屋の跡取り息子の亮一郎が、死に至る病にかかったのは6歳の時。
妖怪や物の怪の類が見える母親は、自分の命と引き換えに沼神様に頼んで亮一郎を助けてもらう。
亮一郎の遊び相手である使用人の息子・徳馬も妖怪や物の怪の類が見え、沼神様と母親の一部始終を見ていた。
「形見として髪の一筋でもいただけませんか」とお願いすると、沼神様は徳馬の声と引き換えに、母親の爪を寄こしてくれた。

時は流れ、亮一郎は大学で植物の研究をしていた。
裕福な家のお坊ちゃんらしく、わがままで癇癪持ちの性格の亮一郎だったが、子供の頃から変わらず年上の使用人・徳馬にべったり。実は亮一郎は中学の頃から徳馬が好きなのだった。

そんなある日、徳馬が「お暇を下さい」と紙に書いて寄こした。
主従関係でもいいから、とにかく徳馬を側に置きたい一心の亮一郎は到底受け入れないでいたが、実家が火事の憂き目に遭い、亮一郎は父・義母・義弟を。徳馬は母親を亡くしてしまう。

自分が暇乞いをはねつけた所為で、徳馬を母親に会わせてやれなかったと悔やむ亮一郎。
「私より、亮一郎さんの方がお寂しいでしょう」と気遣う徳馬のいじらしさに、つい接吻をしてしまう。

初七日が終わってすぐ、実家の借金が相当あることが判明。借金を肩代わりするから娘と結婚してくれという地元の豪商の申し出と、伯父の置かれている事情を酌んでしぶしぶ婚約する亮一郎に、またしても徳馬が暇乞いをする。
「そろそろ私を自由にしてください」とまで言われ、自分のわがままに気づいて愕然とする亮一郎。

数日後、徳馬は牛追い神事の牛を盗んだ容疑で逮捕された。
納得できない亮一郎は、警察で徳馬から話を聞きに行く。すると、か細いながらも徳馬は声が出せるようになっていた。20頭目の牛を沼神様に差し出したことで、徳馬の声が戻ってきたという。

実は沼神様は、この先20年間、牛を1頭ずつ生贄に差し出すことと、この事を亮一郎に伝えないことを条件に爪を徳馬に返してくれたのだった。
徳馬は母親と沼神様との顛末を伝え、形見の爪を亮一郎に渡す。

幼かった自分が悲しむだろうからという理由で沼神様と取引し、20年間牛を盗み続けた徳馬のいじらしさに、たまらなくなった亮一郎は徳馬を連れて脱獄。逃亡。
雨が降る中、山の中腹の炭焼き小屋で亮一郎と徳馬は結ばれる。

翌朝、逃げ切れる訳も無くつかまってしまう二人。こんな小さな爪一つの為にこんな目に遭うなんてと、怒った亮一郎は爪を沼に投げ込む。
すると、これまで徳馬が盗んだ20頭の牛が沼から這い出してきた。恐ろしさのあまり逃げ出す警官。
牛が帰ってきたことで、徳馬が盗んだという証拠が無くなり、また、牛が怖くて逃げた事を隠したい警察側は徳馬を放免する。
亮一郎は、土地をすべて売って借金は4分の1に減る。

亮一郎は大学で助手の仕事をし、徳馬は亮一郎の身の回りの世話をし、借金を月々返済しながらボロ長屋に暮らす。
お金は無くても愛が有るから大丈夫なの・・・で、めでたしめでたし。




うわああああああああ!!!!

やばい!萌える!
徳馬のいじらしさ超萌える!!

炭焼き小屋で「俺が好きか」と尋ねる亮一郎に向かって、
「好きでなければ、癇癪持ちの亮一郎さんの側に20年もいません」とか言うし!

亮一郎が徳馬を裸にしたら、フンドシ着けてなくて「何故つけていないのだ」と尋ねれば、
「亮一郎さんのこれまでの相手は女性だったから、フンドシしてたら興が殺がれるかと思ってつけないでいました」とか言うし!!

亮一郎が酔った女性を負ぶって家まで送っただけなのに、亮一郎の靴を磨きながら、おしろいの匂いがしたと密かに嫉妬し、ハラハラ涙してみたり。

何だそのいじらしさはーーー!!!


亮一郎との会話は、身振り手振りと筆談。
紙と鉛筆が無い時は、亮一郎の手のひらに徳馬が一文字一文字書いていくんですよ!!
愛しいやら切ないやら、なんともいえない二人だけの一瞬の蜜月なんです。
(あぁ、身につまされる!!)

お互い相手を、愛しい愛しいと思いながら、でもそれを表に出してはいけないというのがもう切なくて切なくて・・・!

ラブラブになったあとの後日談があるんですが、こっちはどちらかというと、BLよりはホラーの方をメインにした作品。
徳馬が身の内に飼っている小鬼が活躍するお話。
亮一郎は、生来から物の怪に憑かれやすい体質らしく、徳馬は時々そういった物の怪を自身の小鬼である「桑葉」に食わせて退治していたらしい。
その事を知った亮一郎は、猫に化けた桑葉にからかわれたりして、何だかにぎやかな家族のような関係に。

BLらしさの点では、お引越しした長屋のお隣さんが昔、娼妓をしていた人で、徳馬はフェラーリを教えてもらいました。
亮一郎にそれを披露したら、たいそう喜ばれて、結局徳馬の方が亮一郎のひざの上で粗相をしてしまいました。
体中を赤くして恥じ入っていたら、徳馬限定ド変態の亮一郎は、辛抱たまらなくなりましたというお話も有ったり。

なんかもう、全方位に迎撃体勢が整った小説でした。

ごちそうさまでした。




亮一郎=谷山紀章
徳馬=岸尾だいすけ

えー、徳馬は口が聞けない設定なので、前半はすべて息遣いとSEで徳馬の心情、所作を表現。

だいさくすげえ!!!声優ってすげえ!!

とてもドラマCDとして聞き応えのある作品になっていました。

一番の萌えどころはきーやんが言う「ふんどし」という単語。

イイ声で「ふんどし」

きーやんが「ふんどし」


たったこれだけの事なのにどうしてこんなに萌えるのか。

アタシの方こそド変態というオチですな。

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