*2010.08.18 (Wed)... 記者と番犬

★記者と番犬★


記者と番犬
著者：洸 　
挿絵：佐々木久美子

～あらすじ～
骨折した先輩記者の代理で温泉旅館特集の取材をすることになった吉岡は、同行のカメラマンが二つ年下の幼馴染・多岐であることに驚きと懐かしさと少しの罪悪感を抱いていた。
吉岡が高校に上がった頃から多岐を避けるようになっていたのだ。しかも理由が、自分より背が大きくなったとか、バスケが上手くなったとかいう下らない事。
しかし、多岐は幼い頃と変わらず「秀ちゃん、秀ちゃん」と犬のように懐いてくる。オマケに昔より懐き方がちょっと濃い。
そんなある日、取材先の旅館でウッカリ多岐に押し倒されてしまう吉岡だったが！？


えー、良くも悪くもＢＬのテンプレでした。
ニブ過ぎる吉岡に、読み手がヤキモキしてしまう話。

酔った吉岡を、いやな顔ひとつせず介抱してあげるとか、
部屋の鍵が隠してある場所教えて勝手に家に上げさせたりとか、
部屋の掃除してもらった挙句に冷蔵庫に時々お惣菜作って置いてあるとか、
「彼女」と言う単語は絶対使わず「好きな人」とか「恋人」という言い方しかしないとか、
「秀ちゃんが一番」的な発言を何度も聞かされてるのにこれっぽっちも気づかない。

どう考えても多岐に惚れられてるのに、勘付きもしないニブさ。

押し倒されて首筋吸われて、ちょっと感じてしまった自分に恐怖したけどすぐに、
「多岐はゲイなんだから、浴衣の男がいたらそりゃクラッと来るよな。俺だって好きじゃなくても浴衣の色っぽい女がいたらクラクラするし」
と、どこまでも斜め上の解釈。

多岐が哀れで哀れで。

吉岡のスクープネタが原因で襲われたりしたけど、多岐が助けてくれたり、多岐の疎遠になった身内のスキャンダル的内容のスクープを世に出すかどうかで悩んだりとか、元カノ問題とか色々あるんですが、１つ１つクリアして告白しあって大団円でした。

年下大型ワンコ攻めの、ニブチン美人受け。

エッチもそんなに濃くないのでＢＬ初心者には最適かと。

そうそう、挿絵が１枚「小人の家か！！！」と突っ込みたくなるパースのものがあった。
それも味。

勝手に妄想キャスティング！
ワンコ攻め＝羽多野くんは鉄板なんだけど、なんかもうちょっとしっかりしてそうな感じが欲しいんだよなぁー。
私が偏ってるだけかもだけど、羽多野くんのワンコ攻めはちょっと情けない子が多い気がするので。
吉岡は鈴木千尋さんとかかなあ？儚い系のイメージの声優さんだけど、力いっぱいニブチンな役も面白いと思うです。

*2010.04.02 (Fri)... 初恋の雫

★初恋の雫★



初恋の雫　神奈木智 著


～あらすじ～
高校生のとき、駆け落ちを約束した同級生・克弘に裏切られ、深く傷ついた泉。
１０年が経ち、父のアパレル会社「シノハラ」の社運をかけた新ブランド立ち上げに奔走する泉は、新進気鋭のデザイナー・キリシマと会う事 に。
空港まで出迎えに行くと、そこに現れたのは１０年前自分を裏切った恋人・成瀬克弘だった。まるで初対面のビジネスパートナーとして事務的に振舞う 克弘に、泉は静かに傷つく。
１０年前の激しい恋情が蘇りそうになるのを必死でこらえる泉だったが・・・！？



あー、大好きだ。神奈木せんせーい！

お互い「社会的立場」がソコソコの地位にあるため、お互いの先の人生をそれぞれに考えて行動してしまったが為にすれ違い、身を引き、誤解し、無邪 気に周囲の人間を傷つけてしまった２人の恋ですが、ラストはハッピーエンドだって分かってるから読めました。

絶対ハッピーエンドって部分は、ＢＬのいいところだと思います。

泉は、学生時代も、裏切られても、再会しても、思考回路の中心は克弘だけだったという人間。
そんなのが気持ちを殺していようなんて、無理に決まってるし、誰も幸せにしない。

それが分かってるのに、中途半端に手を差し出す克弘はホントに臆病。ヘタレじゃなくて、ただの臆病者。

お互いしか見えていないのに、必死で見ないように見ないようにしてる二人がもどかしくてたまらんかったです。

で、神奈木先生の作品にはよくあることなんですが、メインカップルとは別のところに超イイキャラがいるんですよね。
今回は、トップモデルの誓樹と泉の秘書・竹内。

特に竹内！！！
何と言う腹黒さ！仕事できるくせに一歩引いて状況を見て、「ここにこんな風に手を出したら、こんな感じで事態が転んでいくよね。面白いね」みたい なキャラ。

だから、ワガママ放題の誓樹をも、簡単にいなして「ハイハイ」なんて言えちゃう。
もう、この２人付き合えばいいのに！
誓樹がどんなワガママ言ったって、竹内はあっさりそれを叶えてしまうか、するりと交わして自分の都合のいい展開に持っていくかのどっちかですわ。
竹内に捕まったら最後だと思う。逃げるなら今の内だぞ、誓樹（笑）

あぁ、竹内メインの話が読みたい。

*2010.04.01 (Thu)... 二人暮しのユウウツ

★二人暮しのユウウツ★



二人暮らしのユウウツ　夜光花　著

不浄の回廊の続編です。

～あらすじ～
天野歩と西条希一が同棲をはじめて半年が経過。
相変わらず西条ラブな歩は、人生初の同窓会の誘いに浮かれている。一緒に行こうと西条を誘うがにべも無く断られる。オマケに西条の母親が持ってき た見合い話にスッカリしょぼくれる。
そんな歩を笑顔にしようと、ついウッカリ同窓会へ一緒に行く事を承諾する西条。
ところが同窓会がきっかけで、同級生の果穂が厄介ごとを持ち込み、更に果穂が「西条にアタックするから協力して！」と歩に持ちかけてくる。
だんだん二人の仲がギクシャクし始めてしまうが・・・！？





ああああ、ラブラブ。ホントにラブラブ。

不浄の回廊も可愛かったけど、このお話も可愛かった。砂を吐くって、こういうお話の事言うんだわ。

一度ラブラブになって終わったお話の続編って、ただのイチャイチャバカップルで、ストーリーそのものが結構冗長になりがちなんだけど、このお話は そんな事無かったなあと思います。

夜光さんには珍しく、受けが攻めを好き好き言ってるお話なんですが、ところどころに攻めの受けに対する執着というか、そういうのが垣間見えてニヤ ニヤしてしまいました。

読むと超ハッピーになれる。

全然「好き」って言ってくれない西条に「誕生日には２０回は好きって言って」とおねだりしたら、誕生日祝いの焼肉屋さんで、肉をハサミで細く切って網の上 に「好き」って書こうとしたりする西条どんだけｗｗｗ
「恥ずかしくて言えねえ。回数減らしてくんねぇ？」と言うと、「じゃあ、最低５回！」と譲歩。
そんなに言ってもらいたいのかと。可愛いやつめ。

エロい事はバンバン言うくせに「好き」のたった２文字がどーーーーっしても言えない西条がもう可愛くて可愛くて。
歩に目隠しして、超テレながら好き好き愛してると言ったら、歩ってば泣きながら「嬉しいよーっ！」って床ローリングｗｗｗ

歩が「西条君大好き」っていつも言うから、西条は「俺は愛されてる」って自信が湧くのに、言ってやらないからすぐ歩が落ち込んでしまうという事が 分からないってのは、世の常なんですかね。

西条は同居の際にカミングアウトしたらしいんですが、お母さんは孫の顔を諦めていないようだし、歩の憑依体質も結構ヒドイみたいだし。
ちょっとは強くなった２人の絆ですが、歩が基本ネガティブなのでまだまだ綻びがいくらでも出来そうだなと思います。

続編、期待してしまうなぁ・・・。

*2010.03.24 (Wed)... 愛を乞う

★愛を乞う★



2009年11月発売　文庫　愛を乞う
夜光花　著

～あらすじ～
１３歳の時、両親に突然綿貫家へ売り飛ばされた春也。
高校卒業までの３年間、衣食住や学校の面倒を見てもらう代わりに、綿貫家の長男・一輝の性欲処理の道具として絶対服従を言い渡される。

最初こそフェラを強要したりしていた一輝だが、金持ちでも人の心を持たない父親から、真っ当な愛情が貰えない境遇など、両親に売られた春也とお互 いに共感する部分もあり、徐々に打ち解けていく。
山奥の全寮制の高校に揃って進学した２人は、一足飛びに体の関係が進展するが、所詮高校卒業までの性欲処理契約だという事実を思うと、春也の心は 素直に喜べない。

高校を卒業し、社会人になって数年後、一輝の結婚話を聞いた春也は動揺する。そしてその夜、春也のアパートの前に一輝が立ち尽くしてい て・・・！？





まあ良くある「借金のカタ」って奴です。

春也は１３歳だけど、貧乏すぎてマトモに食べられなかったせいで痩せて貧弱で、そんなだから性にはとんと初心。
自慰すらした事ないから、完全に一 輝の言いなり。
飲めと言われて飲めなくて、とにかく気持ち悪くてたまらず校内のトイレで吐いている所を見つかったとき、春也の口にポンと飴玉を放り込んでくれる 一輝。
そんな優しさに徐々にほだされ始める春也。

一方一輝は、息子は道具だと思っている父親のせいか、最初こそ歪んだ性格していたが、父親が春也に、少年趣味のオッサンの相手をさせようとした り、性奴隷に仕立てた男を獣姦させて楽しんだりするのを「気持ち悪い」と思える心は残っていたので、素直に自分に従うしかない春也をだんだん不憫に思うよ うになる。

全寮制の高校に入って、これまで通り春也にエロい事させつつ、パシリ的な扱いをしているところを先輩にとがめられ、「コイツは俺のものだから」と 口走ったとき、恐らく一輝は自分の恋心を自覚したんだと思います。

そうでなきゃ、その後いきなり歯がぶつかる勢いで春也にキスなんかしない。

お盆の帰省に春也を連れ帰らなかったのは、春也を少年趣味のオッサンの相手をさせようと目論む父から守るためなんですが、それって一輝の独占欲と 保護欲の表れだと想うんですよね。

春也は一輝が帰省している間、自由になれると思っていたのに、いざふたを開けたら一輝のいない寮生活が悲しくて寂しくていられない。
ココへ来てようやく春也も自覚。
寮に戻ってきた一輝と、一足飛びに夏休みの間に結ばれてしまう春也。

その後、まるで恋人にするみたいに一輝は春也に甘くなっていくんだが、基本は主従関係的なものが根底にあるから、お互いに「好き」とも言えずにい る。
その辺の葛藤が切なかったなあ。

高校卒業後の話は駆け足で進んでいくんですが、ラストの告白シーンはちょっと泣けたな。

「一輝が一言好きって言ってくれれば、俺はいらないって言われるまで傍にいる」
「愛してる。頭おかしくなるくらい大好きだ」

お互い出会ってから１２年たって、やっと言えた愛の言葉だったから、なんかもう大団円って感じだったよー。

後半、息子を金ヅルにしか思っていない春也の母とか、春也をもう一度買って一輝の愛人（ペット）にしようと画策する一輝父とかのエピソードもあっ たんですが、そんなのどうでもよくなるくらい大団円。

その後２人は、誰はばかることなく愛し合って暮らしていくでしょう。
なんか久しぶりに、濃くて甘いハッピーエンドのお話を読んだような気がします。

妄想キャスティング！
春也は、大人しい感じで前半超ビクビクしてるからなぁ。大人になっても、そんなに大声で喋る感じじゃないし。うーん、声のトーンは野島健児さんとかのイメージかなぁ・・・。
一輝もおしゃべりのイメージじゃないんだよなぁ。
言いたい事が内側で色々渦巻いていてもなかなか表には出さず、出したらその分ドロッと濃くて熱量の高いセリフばかりだからなぁ。
一番近いイメージで言うなら、前野くんの声で、鳥海さんの芝居（無茶言うな）
もうむしろ学生時代前野君で、大人になったら鳥海さんでいいじゃんよ！（良くねえよ）

*2010.02.26 (Fri)... 彼と彼氏の秘密

★彼と彼氏の秘密★


彼と彼氏の秘密　五百香ノエル　著

～あらすじ～
愛してるだけ。誰にも渡せないだけ。
そこに潜む、くるおしいまでの執愛と泣きじゃくる純情と蕩け堕ちるいやらしさ。
ただ君だけのために。
秘密はただ君へ向 かっている―。
嵐のようなイジメが始まって半月、成海は突然目隠しをされて体育倉庫に連れ込まれた。
苦痛だけの凌辱。誰かわからない恐怖。理不尽には屈し ないはずの成海が頽れ縋ったのは、家柄と美貌、そして優しさで学園に君臨する裄彦だった。
たったひとりの味方。しかし凌辱はエスカレートし成海もまた…。
（楽天より転載）

表題作のほかに、
彼と彼氏の秘密／カレトモとカレシのモトカノ／それからのカレとカレシの日常／オマケのオマケのクリスマス を収録。
ま、全部本編の番外とか続編に近いです。


えーと、すごいです。
何が凄いって受けのＡＶ喘ぎが。

攻めの言葉攻めも大概オヤジだけど（高校生なのになぁ・・・）受けの喘ぎは安いＡＶ。言わされてる感満載の喘ぎに近い。

「いやっ、アソコがアレでコレで、どううのこうのでイっちゃうあんあんあぁ～～～ん」

っていう感じなんだよね。
最初は「やめろ」とか嫌がって、男のプライドがどうのこうのとか、屈辱だとか何とか言ってるけど、そのうち快感に負けちゃって、スイッチ入った途端にあんあん言いはじめるという・・・。

攻めは攻めで、日本語の理解できないヤンデレで、俺ルール発動しまくり。
なんかもう、学校とかトイレとか下校途中とか、盛りのついた高校生らしくあっちでもこっちでもパコパコやってる。
読み進めると、仕舞いにゃギャグに見えてくるという・・・。

受けの親も、攻めの口車に乗せられてスッカリ丸め込まれちゃって、親子してアホなのかと。
ま、良いんじゃないですか？気持ちよさそうだし。

妄想キャスティング。
これなー、この作品の淫語言ってくれる人を探すとこからだと思うんだ。
仕事を断らない、選ばない、そういう主義の人をリストアップして、それからって感じっぽいわ。
話もセリフもアホなので、そういうの萎えないで、台本は諭吉様と思える方にやっていただいたら良いと思います。
・・・誰でも良いんです、この際・・・。